
- Laravelのサービスプロバイダーって何?
- メリットがいまいちわからない
- 現場だとどう使われるのか知りたい
このようなお悩みを解決するために、Laravelのサービスプロバイダーについてメリットや必要性を含めて簡単に解説していきます。
この記事を書いた人

- エンジニア3年目
- 主にLaravel, Vue.jsを使用
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Laravelのサービスプロバイダーとは

サービスプロバイダ は、Laravelアプリケーションにおけるサービスの登録を担当するクラスです。

どこにサービスを登録するの?
そもそもサービスを登録するって何?
あと、どうしてサービスを登録する必要があるの?
サービスプロバイダはサービスコンテナというクラスのインスタンスや依存関係を管理し、必要なときに提供する仕組みにサービスを登録します。
サービスを登録するとは、Laravelのサービスコンテナにクラスや機能を追加し、アプリ全体で使えるようにすることです。
サービスを登録することで、いちいち必要なクラスのインスタンスをnewで作成しなくてもLaravelが自動でインスタンスを作成してくれるので、コードの記述量を減らしたり再利用しやすくなります。
ざっくりと書きましたが、詳細を知りたい方はこちらの記事を確認してください。
サービスプロバイダーの構成要素

サービスプロバイダーの使い方を確認する前にどんなメソッドが入っているのか、各メソッドの役割、使用場面を確認しましょう。
サービスプロバイダーの主な構成要素は以下の3つです。
register()
:サービスをコンテナに登録するboot()
:初期設定やイベント登録を行うprovides()
(オプション):遅延ロード対象のサービスを指定する
各メソッドの使い方も含め、もう少し詳しく見ていきましょう。
1. registerメソッド(サービスの登録)
registerメソッドはサービスコンテナにクラスや機能を登録するためのメソッドです。
registerメソッドの中で使われるメソッドにはbindとsingletonの2つがあるのでこの2つのメソッドの違いも確認していきましょう。
bindメソッドとsingletonメソッドの使い方と違い
この2つのメソッドの違いは、bind()
は毎回新しいインスタンス、singleton()
は最初の1回だけインスタンスを作成し、使い回すことです。
もう少し具体的な使い分けが必要なシーンを説明すると、
ユーザーごとに異なる処理が必要な場合などのリクエストごとに異なるデータを処理するサービスにはbindメソッドを使用し、データベース接続、APIクライアントなど新しいインスタンスを作成する必要がない設定や接続情報を共有したいものの場合はsingletonメソッドを使用します。
使い方に特に違いはなく、どちらも第一引数に登録するクラスやインターフェースの名前、第二引数にクラスのインスタンスを生成する処理を記入します。
public function register()
{
$this->app->singleton(MyService::class, function ($app) {
return new MyService();
});
$this->app->bind(MyService::class, function ($app) {
return new MyService();
});
}
2. bootメソッド(初期設定やイベント登録)
bootメソッドはregister
メソッドの後に実行されるサービスの初期設定や、ルート・イベントリスナーなどを登録するメソッドです。
もう少し詳しく主な使用場面を見ていきましょう。
bootメソッドの使用例1 ルートの登録
Laravelにはルートモデルバインディングというルートの {}
内のIDを使い、自動で対応する Eloquent モデル(User::find($id)
など)を取得する仕組みがあります。
例えば、/users/
{user} にアクセスすると User::find(user)
を自動で取得してくれるというような形です。
ただ、{}内をそのモデルの主キー(id)ではなく、usernameなどの主キー以外のカラムで検索したい場合にはroute用のサービスプロバイダを作成し、bootメソッド内で以下のように記載する必要があります。
use App\Models\User;
use Illuminate\Support\Facades\Route;
public function boot()
{
Route::bind('user', function ($value) {
return User::where('username', $value)->firstOrFail();
});
}
bootメソッドの使用例2 イベントリスナー
何かが起こったときに特定の処理を実行する(イベントリスナー)をbootメソッド内で設定します。
下記はユーザーが登録されたときにメールを送信するイベントリスナーを登録しています。
use App\Events\UserRegistered;
use App\Listeners\SendEmail;
use Illuminate\Support\Facades\Event;
public function boot()
{
Event::listen(UserRegistered::class, SendEmail::class);
}
bootメソッドの使用例3 カスタムBladeディレクティブ・バリデーションの追加
boot
メソッド内でカスタムバリデーションルール、Bladeディレクティブを登録することで、サービスプロバイダーのロード時にルールを適用できるので、アプリケーション全体で利用できるようになります。
下記のコードはカスタムディレクティブの例です。
ビュー内でuppercaseという小文字を大文字に変えるカスタムBladeディレクティブをbootメソッドファイル内に設定しておくとビューファイルに@uppercase(‘hello’)と記載するだけで使用できるようになります。
public function boot()
{
Blade::directive('uppercase', function ($expression) {
return "<?php echo strtoupper($expression); ?>";
});
}
下記のコードはカスタムバリデーション追加の例です。
bootメソッドに以下のように書くと
public function boot()
{
Validator::extend('uppercase', function ($attribute, $value, $parameters, $validator) {
return strtoupper($value) === $value;
});
}
このように書くだけでカスタムバリデーションルールを使用できるようになります。
$request->validate([
'name' => 'required|uppercase',
]);
3. provides メソッド(オプション:遅延ロード用)
サービスプロバイダーが遅延ロードをサポートする場合に使用されます。
providesメソッドがあると、Laravelはそのサービスが遅延ロード可能であることを認識し、実際に使われるまでメソッド内で指定しているサービスのインスタンス化を遅らせます。
public function provides()
{
return [MyService::class];
}
遅延ロードとは?
遅延ロードとは、必要になるまでサービスのインスタンスを作成しない手法です。
アプリケーションの起動時に不要なリソースを消費せず、パフォーマンスを最適化できます。
サービスプロバイダの使い方

サービスプロバイダーの使い方は以下の順序になります。
1. サービスプロバイダの作成
以下のコマンドの〇〇の部分を用途に応じて変更し、新しいサービスプロバイダを作成します。
php artisan make:provider 〇〇ServiceProvider
2. register
メソッドでサービスを登録
3. boot
メソッドで初期化処理
4. サービスプロバイダの登録
サービスプロバイダはconfig/app.php
に登録して、アプリケーションに読み込ませます。
'providers' => [
// 既存のサービスプロバイダ
App\Providers\〇〇ServiceProvider::class,
],
config/app.phpのprovidersに追加するだけでLaravel起動時にサービスプロバイダを順番に読み込んでregister, bootメソッドが実行されていきます。
ここの流れがイマイチピンときていない方、復習したい方は下記の記事を確認してください。
【Laravelを最短でマスター!】初中級者が確実に成長するおすすめ書籍3選

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Laravel サービスプロバイダー まとめ

いかがだったでしょうか?
Laravelのサービスプロバイダーは、アプリケーションのサービスを登録・管理し、開発を効率化する重要な仕組みです。
本記事では、サービスプロバイダーの基本から、registerメソッド・bootメソッド・providesメソッド の役割、具体的な使用例まで詳しく解説しました。
特に、ルートの登録・イベントリスナー・カスタムBladeディレクティブやバリデーションの追加 など、実際の開発で役立つ活用法も紹介しました。
サービスプロバイダーを理解し活用することで、Laravelの拡張性を最大限に引き出し、より柔軟でメンテナブルなコードを書くことができます。
Laravelをさらに深く学びたい方は、ぜひおすすめ書籍もチェックして、実践的なスキルを身につけてください!
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!
今後ともよろしくお願いします。
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参考記事・書籍
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